IKZOその後3 終

まきパン

2010年10月28日 22:20

病院からの帰り道

『母ちゃん 親父とどうやって知り合ったの?』

『なに? なんでそんなこと聞くの?』

『別に・・・・』

話し出す母

『あの人ね・・・昔っから歌が上手でね
 神社でよくギター弾いて歌ってたの
 たまたま通りかかった私が声かけたの』

照れる母

『歌手になるのが夢だって言ってたなぁ・・・
 あっ!!これお父さんには内緒ね   』

そういえば子どもの頃
物置の奥で ギターケースを見たのを
思い出した 


家に着くと父はお茶をすすりながら
新聞を広げている
祖母は 仏壇に手を合わせている

IKZOは家に着くなり物置に向かう
そこにはホコリのかぶったギターケース
すぐさま取り出し ケースを開ける

ホコリまみれのケースとは裏腹に
中には手入れのいきとどいた
アコースティックギター


『何してるのあんた?』と母

『母ちゃん 俺 帰るわ』

『親父 これ持っていっていいか?』

『ん・・・・?おう・・・勝手にしろ』
無愛想な返事の父


『じゃあ私送っていくわね』と母
『じゃあ・・・・・』とIKZO

出て行った2人が見えなくなる頃
すっと立ち上がり 2人の背中を見つめる父


駅に着く

『じゃあ 身体に気をつけてね
 また 野菜送るからね   』

『おう・・・ありがとう
 母ちゃんも身体に気をつけてな』

列車のドアが閉まる
手を振り続ける 母

IKZOは列車の中で
ギターケースを抱え決意する

『俺・・・・歌手になる』
『東京者には負けねぇべ!』


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