IKZOその後3 終
病院からの帰り道
『母ちゃん 親父とどうやって知り合ったの?』
『なに? なんでそんなこと聞くの?』
『別に・・・・』
話し出す母
『あの人ね・・・昔っから歌が上手でね
神社でよくギター弾いて歌ってたの
たまたま通りかかった私が声かけたの』
照れる母
『歌手になるのが夢だって言ってたなぁ・・・
あっ!!これお父さんには内緒ね 』
そういえば子どもの頃
物置の奥で ギターケースを見たのを
思い出した
家に着くと父はお茶をすすりながら
新聞を広げている
祖母は 仏壇に手を合わせている
IKZOは家に着くなり物置に向かう
そこにはホコリのかぶったギターケース
すぐさま取り出し ケースを開ける
ホコリまみれのケースとは裏腹に
中には手入れのいきとどいた
アコースティックギター
『何してるのあんた?』と母
『母ちゃん 俺 帰るわ』
『親父 これ持っていっていいか?』
『ん・・・・?おう・・・勝手にしろ』
無愛想な返事の父
『じゃあ私送っていくわね』と母
『じゃあ・・・・・』とIKZO
出て行った2人が見えなくなる頃
すっと立ち上がり 2人の背中を見つめる父
駅に着く
『じゃあ 身体に気をつけてね
また 野菜送るからね 』
『おう・・・ありがとう
母ちゃんも身体に気をつけてな』
列車のドアが閉まる
手を振り続ける 母
IKZOは列車の中で
ギターケースを抱え決意する
『俺・・・・歌手になる』
『東京者には負けねぇべ!』
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